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2022.10.03
  • 報告

開催報告:センター設立記念シンポジウム・2022/09/28(水)

 2022年9月28日(水)、大阪大学 大阪大学会館に於いて、スチューデント・ライフサイクルサポートセンター設立記念シンポジウム「DXで学生が変わる、DXが大学を変える:データ駆動型学生支援システム構築(SLiCSシステム)と中長期的な教育成果の可視化を目指して」が開催されました。

 シンポジウムの開催にあたり、西尾 章治郎 大阪大学総長より、OUマスタープランに掲げる大阪大学における教育の方向性、「知性あふれる人材の育成環境を構築し、複雑で答えのない社会の諸課題に対応できる能力を身に付け、新たな社会を創造できる人材を持続的に育成していく」ことを実現するためには、データ駆動型学生支援システム構築(SLiCSシステム)が重要な役割を果たすこと、そのためには様々な課題を乗り越える必要があり、本シンポジウムがその課題を解決するきっかけとなることを期待する旨のご挨拶がありました。

 続いて、基調講演として、喜連川 優 国立情報学研究所長より「教育データレイク:教育分野におけるデータ駆動研究のための基盤」について、LMSなどの教育データを活用したデータ駆動型教育に関すること、また、その運用の実態、教育に関するデータが集取されることにより教育に関する研究が進み、合わせてそれらが共有化されていくことで、教育がよりよい方向に変革していくという可能性があることについてのご発表をいただきました。合わせて、桐生 崇 文部科学省 総合教育政策局 主任教育企画調整官・教育DX推進室長より、「教育DX・教育データ利活用の政策の方向性」について、日本の教育DXに関する現状、教育データの定義や利活用の目的とその視点などが整理されてきていること、GIF(Government Interoperability Framework)やMEXCBT、EduSurvey、Scheme-Dなどの教育をDigitization、Digitalizationする取り組み、またそれらによって教育のDigital Transformationがもたらされ、主体的な学習者、個別最適化された学習などの実現が期待できることについてのご発表をいただきました。

 その後、川嶋 太津夫 大阪大学 SLiCS センター長より、スチューデント・ライフサイクルサポートセンターの紹介があり、パネルディスカッションでは、竹村 治雄先 大阪大学 サイバーメディアセンター 教授 兼 SLiCSセンター 教学DX部 部長[副センター長]より、大阪大学におけるCMSの導入に関して、またその活用状況と教学DXに向けた方向性について、山下 仁司 大阪大学 SLiCSセンター 入試広報・入試開発部部長[副センター長]より、大阪大学におけるエンロールマネジメントの分析例、また、それらを支える基盤データの収集方法やその利活用システムに関して、加納 圭 滋賀大学 教育学部 教授より、Edtechの状況とそれに関わるELSI(倫理的・法的・社会的課題)を解決するための方法や事例に関する話題提供をいただき、村上 正行 大阪大学 全学教育推進機構 教授 兼 SLiCSセンター 教学IR・教学データ基盤部部長[副センター長]がモデレータとなって、基調講演をいただいた喜連川先生、桐生様も含めて議論が行われました。教育のDX化がなされることによって、学生へのフィードバックのスピードが上がり、学生は自分の状態を即座に知ることができるため、従来の「平均に比べてどうか」という考え方から、「自分は今どこまで学習が進んでいるのか」という考え方への変化が期待できること、また、フィードバックループを「小さく」、「はやく」、「たくさん」行うことができるようになり、それらが蓄積されることでこれまでにないパターンの指導方法と学習方法が教員、学生に提供できるようになることにより、個別最適学習が可能になるのではないかなど、様々な視点から教育DXの可能性についての議論がなされました。

 最後に田中 敏宏 大阪大学 理事・副学長より、コロナ禍によってもたらされた大きな教育環境の変化がより教育DXの必要性や可能性を高めたこと、SLiCSシステムに対する大きな期待と今後のご支援をいただきたいとの挨拶があり、閉会となりました。

 シンポジウムには延べ381名の申込があり、北は北海道から南は九州・沖縄まで多くの方にご参加いただき、基調講演、パネルディスカッション共に大変充実したシンポジウムとなりました。ご参加いただきありがとうございました。